Bushbox XLを使って約1年経ったので所感をまとめて見る
Bushboxを買ったのが2018年12月なので、それからだいたい1年が経ちました。
使用機会そのものはせいぜい5~6回程度とさほど多くはありませんが、大体の使用感が掴めてきたのでまとめてみますね。
結論を先にまとめてしまうと、市販の薪を使った焚き火には向かず、あくまでブッシュクラフターや炭調理向けの製品である、という印象です。
Bushbox XLの基本情報について
BushboxはBushcraft Essentialsが出しているアウトドアストーブのシリーズです。
サイズ毎に何パターンかあって、Bushbox XLはその中でももっとも大きいサイズのものになります。とはいえ焚き火台として考えるとそれでもかなり小さいです。
材質はステンレス製(安い・重い)とチタン製(高い・軽い)の2種類があって、それぞれで重さと価格が違います。
コンパクト・軽量がウリで、畳むとザックにしまっての運搬が楽な部類。
組み立ても畳むのもどちらも展開・折りたたむだけなので準備も楽々です。まさに野営人向けのコンパクトストーブです。
- Bushbox XLの特徴
- コンパクトサイズなストーブ
- 使用時:12.5×12.5×19cm
収納時:12.5x19x1cm - ただ使用していくと徐々に反ってかさばっていくのと収納ケースに厚みがあるので、実際の収納サイズはもう二回りぐらい膨らみます。
- 足が短めなので直火禁止サイトでは直で地面へ置いての使用はやめた方が良いかと。
- 使用時:12.5×12.5×19cm
- 重さも軽め
- チタン:約500g
ステンレス:約780g
- チタン:約500g
- 形状は直方体
- 似ているファイヤーボックス(↓)は上から見ると歪な台形っぽい形状なので、そのあたりが大きく違うポイントですね。
- 燃焼効率はかなり高め
- 一度火がついてしまえばわりと安心な感じ。大体の場合で全部灰になるまで燃え尽きる。
- ある程度までなら風が吹いていても使用可能
- ただし酸素供給口となる隙間が多いので、風が吹くと灰が飛ぶ可能性高し。要注意。
- オプションパーツのプレートなどを使うと炭火調理やアルコールストーブなども使いやすくなる
- ないならないでもできるっちゃできる。
- 付属のリベットをひっかければ使用中であっても多少の移動は可能
- ただ当然ながら要注意です。
- コンパクトサイズなストーブ
似た製品としてはファイヤーボックスも有名ですね。
チタンは青みがかる感じが美しすぎる
ぼくが買ったのはチタン製のものになります。
チタンという素材の特徴として、
- ステンレスより軽い
- 錆びない
- 値段はお高め
- 熱すると青みがかる
が挙げられます。
軽くて錆に強い、というのはザックキャンプでは非常に重要なポイントですが、もう一点。
所有欲というか男の子心をくすぐってくるのが、最後の「熱すると青みがかる」というポイントです。
火入れ式(1度目の使用)後のすがた。うつくしすぎる。
熱せられる場所や温度が都度変わるので、同じBushboxでも人によって色味などは変わってくるでしょう。
自分のための自分のギアとして、これほど美味しいものはありません。チタン好き。
焚き火性能は燃焼効率が高く灰になるまで燃やし尽くせる
トンネル効果+酸素給気口(穴)がそこかしこにあるため、一度火が付けばガンガン燃えていってくれます。
基本的にすべて灰になるまで燃やし尽くしてくれるので、火力は相当なものです。
たまに最後の方に投入した薪の燃え残りが原型とどめてることがあるかな、ぐらい。
なおいくら熱伝導率が他金属よりは低めとはいえ、普通に高温になるので取り扱いには注意が必要です。
また隙間から灰は普通に外へ出ることも多々あるので、直火NGのキャンプ場では必ず下にトレイやカーボンフェルトなど、何かしらを敷く必要があります。
ただし、買った薪がそのままでは使えないのでノコギリ必須
前述の通り、Bushbox XLは12.5×12.5×19cmと非常にコンパクト。
逆に言うと、入れられる量も小さくなる、というわけです。
高さの19㎝は足の部分も含んでの長さなので、実際に薪を入れられるスペースでいうともっと短くなって15㎝ぐらいですね。
キャンプ場の売店や市販の薪などは大体35~40㎝ほどの長さが一般的ですので、そのままの長さではBushbox XLでは使うことができません。というか、入れられるけど非常に不安定になるので安全上やめた方が良いです。
上図は初めての火入れで使った時ですが、ご覧の通り底へ着くように縦に刺しても、半分以上がはみ出てしまっています。
また焚き火始めはまだ底が深いからマシですが、焚火も進んでいくと当然ながら底へ熾火や燃焼中の薪などが埋められていくので、新たに薪を刺そうとしても底が浅くなりがちで、結果として重心も高くなりより不安定になります。
入れた当初はまだ安定していても、薪が火で爆ぜたりした場合などに重心がズレたり折れたりして、火のついた焚き火台を倒してしまう可能性があります。というか実際倒しました。
ですので、市販の薪で焚き火をする場合は、必ずノコギリを携帯する必要があります。
ノコギリは折りたためて長さもちょうどよいシルキーのポケットボーイ 万能目 170mmがオススメです。なお上記はAmazonのリンクですが、近場にホームセンターなどあれば覗いてみたら置いてあるかもしれません。Amazonだと品切れ中に謎の高騰することありますし。
ちなみにBushbox XL(のチタン)自体は500g程度と軽量ですが、これにノコギリを合わせると+200gぐらいの重量増になります。
ノコギリで薪を短くすれば、普通に焚き火台として使用することは問題ありません。
ただ、ノコギリで薪を2分割や3分割にするの、めちゃくちゃ疲れるんですよね……。
専用トレイとスティックを使ってみたけどやっぱり駄目だった
できればノコギリ持ち歩きたくないな、ということを悩んでいたところ、ある日Twitterでこういうアイデアを見かけました。
オプションのトレイとスティックを追加して、窓のところへ薪の投入用の坂を作ってしまう、というものです。
やってみるか、と実際に試してみました。
結論から言うと、ダメでした。
やってみたところ、以下の問題が出てきました。
- 投入口が狭すぎて薪を並べるのがそもそも厳しい
- 本体の(熱による)歪みにより、トレイがめちゃくちゃ外れやすくなっている
というわけで、残念ながら薪での焚き火に使うのであればやはりノコギリを持っていく必要がありそうです。
収納サイズはコンパクトめ
収納時の大きさはスペックに12.5x19x1cmとありますとおり、かなりコンパクトになります。
ただケース自体の大きさや暑さもあるので、新品時でも大きさは二回りほど大きくなりますし、厚さも2㎝ぐらいにはなるかと。
これぐらいの大きさであれば、ザックにも普通に入れられることができて助かります。
さすがに「隙間にするっと入る!」というほど薄くはないですが、面積も厚さもさほどではないので、そこまで問題にはなりません。
ただし歪みで厚みが増すので見た目よりも嵩張る
ただし、前述の収納サイズはあくまで新品時のスペックデータです。
実際に使用していくと、金属製品ですので熱で歪んで反っていきます。
そのため、力を加えれば新品時に近い薄さにできるものの、何も力がかかっていない状態ではけっこう厚さが増して感じられるようになります。
一応、上記の写真の状態でも、組み立てや収納そのものには大きな支障はありません。
ただ大きな支障はないものの、ものすごく引っ掛かりやすくなっているため、スムーズな組み立て・収納はできなくなります。また、収納ケースへしまうのも一苦労に。
使っていくと思ってる以上に歪んで反る
前述通り、金属は熱すれば歪みます。
Bushboxも当然ながらその対象で、チタンの場合は薄さもあるためか使用後の反りがけっこう目立つ印象です。
ぼくの場合、2~4時間程度の焚火で5~6回使いました。
その結果、
1度目の使用:足の付け根が微妙に反る
2~3度目の使用:足の付け根の反りが角度増す
4~6度目の使用:気づいたら前後の一枚板も軽く弧を描く
という感じでした。
新品時と比較するとかなり歪んできてはいますが、一応はまだ使用できなくなる、といったほどの状況ではありません。
まぁ収納や組み立て、収納ケースへの仕舞いなどにはバリバリ影響が出ていますが……。
まとめ:拾った枝葉で焚き火や炭で調理する人向き
というわけで気になったポイントをまとめると、
- 薪で焚き火をするには向いていない
- 別途ノコギリ(薪を短くする)や鉈(薪を細くする)などが必要になるため。
あとノコギリで薪を切るの、思ってる以上に体力使って大変です。
- 別途ノコギリ(薪を短くする)や鉈(薪を細くする)などが必要になるため。
- 長時間の使用を繰り返すとどんどんと歪んで反っていく
って具合です。
なのでおそらくは、そもそも「薪の焚火台」として使うのはあまり向いていない、ってことなんでしょうね。
使用上でネックになるのは薪の長さですので、落ちてる小さめの枝葉などを集めて行うようなブッシュクラフターっぽい焚き火スタイルであれば問題にはならないはずです。
また長時間燃やし続けられるほどの量を集めるのは困難でしょうから、自然と短時間の使用になるでしょうし、それであれば歪みもそこまで出てこないのではないかな、と思います。
ちなみにBushbox XLを使った調理については、実のところ1度だけ試してみました。
感想としては、やっぱり薪は向いてないな、と思いました。
入れ難すぎる。
ただ頻繁な入れ替えなどが必要ではない炭を使った調理であれば、一人用としては程よい大きさなので向いているかと。
また形状的に簡易的な風防代わりにもなるので、アルコールストーブなどをセットしての調理台としても使いやすそうです。
まとめると、わりとピーキーな製品ですので使い方さえきちんとハマれば、大きさや作り的に非常に便利に使えそうな製品です。
逆に言うとそこが合わないと思ってる以上に欠点が目立ってしまうので、比較的熟練のキャンパー向けだと感じました。(つまりぼくにはまだ早かったわけですね)
いつかぼくも十全に使えるようになって、きちんと使いこなしてあげたいなぁ。